#16 やったほうがよいこと

この世の中には、「やらないといけないこと、やってはいけないこと」だけではなく、「やったほうがよいこと、やらないほうがよいこと」があり、ツーリストシップではむしろ後者を磨いていくことかなあと思うのですが、どうでしょうか

Fさん

愛のゆく「ほう」へ。

英語に表せば、この2つの違いは、

MUSTかBETTERか、ということなのだろう。


ねばならない、と、

~のほうがいい、という表現。


例えるなら、

求人広告で言うところの、

■必須条件…マネジメント経験
■歓迎条件…ビジネス英語

といったところか。


しかしこの歓迎条件は、

実は裏MUSTの可能性がある。


そんなこと書いておきながら、

結局英語力、見るんだろ?ったく。



…こんな勘繰りをして、過去幾多に渡り、

しげしげと求人への応募を取り下げてきた情けない男代表(私)の、

そんなしょっぱい話はどーでもよくて。




「やったほうが」の、「ほう」という表現が、

何とも言えない感触を与えている。


この「ほう」は、

意外な言葉の魔力を秘めている。


ちょっとぼやかしたり、

そんな風なんだけどね、としてみたり、

広辞苑で引けば、

「どちらかといえばこれ」と、書かれている。


…という風な、

微妙にして軽快なニュアンスが、

塀の上でステップを踏んでいる。



「ほう」には他にも、

方向や向かう先、

という意味もあるようで、


であれば私なんかがよく使う、

「あ、それは向こうのほうにあります」

何て言う、本人は奥ゆかしくいったつもりでも、

てんで間抜けで重複しているこの言い草は、


関西弁の代表格である、

「ちゃうちゃうちゃうんちゃう?」

(日本語訳:チャウチャウではないのではないか)


の方がまだ、ギャグセンスもあるし納得もする。

日本語の妙である、韻を踏む、に対しても、

もはや、ちゃうのべた踏み状態だ。



「ほう」と表現する感じはなるほど、

舌触りもいいし、すっと入ってくるイメージがある。


しかし、私が着目したのは、

この「ほう」は、それこそ、

誰に向けての配慮なのか、という点だ。

わざわざ「ほう」に頼る表現とは、

何を指しているのか。



やったほうがよいこと、

やらないほうがよいこと、

この2つを磨くとは、


それこそ、

どこに《向かおう》としているものなのか。



ここでよく引き合いに出されるのは、

日本語の曖昧さ、

日本文化のグレーさを憂いでいる、

ちょっとふんぞり返った

文化人のような佇まいなのかもしれないが、

否、違いますよ。



この「ほう」のワンクッションこそ、

ツップにとっての温かい価値なんだと思っています。



行間といってもいい。

この「ほう」は間違った日本語としてよく指摘を受けるが、

言葉はそもそも、間違いであろうがそうでなかろうが、

積み重ねた発声の上に成り立っていくものであり、

その曖昧さが日本文化を築いてきた一助であれば尚のこと、

誇らしく思って何ら恥ずかしくはない。



「ほう」に込められた配慮、

直接的接触を避け、

ふんわりとした行間を許し、


どうですかと促す心は、

「ほう」に代表される曖昧さにこそ

生存たり得たと思うのです。


そしてその生存が、

ツップを自らの心から引き起こされる、

大切な源泉になると思うのです。



ちゃうんちゃう?


この言葉にも、やや乱暴な関西弁でさえも、

私は愛情を感じる。


違うのではないですか?

この方が意味は早い。


しかし、どうですか、

このイントネーション。



ちゃうんちゃう。



…タイプする文字を打ち間違えてしまうほどの、

yの乱打を強いられる、この奇怪にして茶目っ気ある言葉。



今問題となっている、

文字による感情のもつれ、

テキストコミュニケーションの弊害を

一刀両断する、ちゃうんちゃう。



ツップの包み込む優しさは、

実はこの2文、


やったほうがよいこと

やらないほうがよいこと


これらは既にもう、

ツップマインドが包み込んだ、

事後の形態なんだと思うのです。



「ほう」が向かっている先は、

ツップが求める優しさ。


べきで縛る文化ではなく、

ほうがイイよね?という、

創発的で、歩み寄る、包み込む、息遣いだ。




そんな優しい掌を、

この「ほう」から、

半ば身勝手に、

感じさせていただいた次第です。



やったほうがよいこと

やらないほうがよいこと



最後に少なくとも言えることは、

今回のテーマは決して、

関西弁講座の「ほう」ではないということです。



まさに、

ちゃうちゃう講座では、

ちゃうんちゃう?





…お後がよろしい「ほう」で。

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