ツーリストシップを考えるワークショップ 実施のご報告

先日、修学旅行生向けワークショップを、大人の方にご参加いただき、実施しました。
企画者の想像を超える深い洞察がたくさん生まれ、観光地の状況を改めて俯瞰的に見ることができました。

では、そんなワークショップを少し覗いてみたいと思います。

こちらがワークショップの素材です。

参加者の皆さんに、それぞれの役になりきっていただき、読み合わせを行った後、おじいちゃんとさくらちゃんの願いは何だったのだろうか、皆さんだったらどうしたのか、考えていただきました。

「おじいちゃんはきれいな庭を見てもらいたかったし、さくらちゃんはお母さんに喜んでほしかっただけなんだよなあ」

「おじいちゃんは、柵を作ればよかったのではないかなと思う。さくらちゃんは、写真を撮る。そもそも、誰かがやってるからやっていいわけではないよね。」

「おじいちゃんがすべきだったことは石のレプリカを販売する、さくらちゃんがすべきだったことは、まずおじいちゃんに『この石を持って帰ってもいいですか』と聞くこと、『あかん』と言われたら『どうしたらいいか』と聞いて対話が生まれ、なんかいい感じになったのではないかな」

「持って帰らない対策を考えるけど、もしかしたら置かれている石の意味が伝われば、持って帰ってはいけないよね、皆で守ろうになるんじゃない?」

次に、皆でツーリストシップについて考えていただきました。

「さくらちゃんがおじいさんと話をするのが重要。おじいさんの言い方も悪いなあ」

なるほど。では、おじいちゃんはなぜ怒るに至ったかも含めて考えてみませんか。おじいちゃんにとって、さくらちゃんだけじゃないんです、石を持って帰ったのは。はじめは優しかったかもしれない、だけどだんだん強い口調になっていったかもしれません。。。

「怒るに至った背景があるから、歩み寄ることが大切。酔っ払いに絡まれたことがあるが、それも事情があったのだと思う。それぞれ、観光客には観光客の、住民には住民の理があって、分かり合うことがとても大切。」

「お互いの違う価値の存在を認めてあげて、強制でもない、自由奔放でもない、皆の価値を包含するようなコモンセンスが必要だね。それがツーリストシップか」

「さっき、対話をしたらって話したけど、おじいさんが怒るに至った理由、時間の長さを考えると、単なる頑固おやじではなくて、ちょっとやそっとじゃ解けないのだろう。これは多分どの観光地にもあって、とても根が深い問題だな…。」

観光客にしてみると1人の観光客であっても、観光地からすると多くの観光客の1人。観光客の些細な行為が積もっているということだよね。そこを観光客は理解しないといけないということかな。」

ありがとうございました。

多くの皆さんは、観光客として観光地と関わりをもつことになると思います。
そんな時は、「お互いに少し寄り添ってみること」を意識していただきたいと思っております。
それが、ツーリストシップの基本であり、皆が楽しく過ごせる観光地を築く一歩だと考えております。

ワークショップのまとめはこちら。
【観光客がとるべき具体的な行為】
◎皆がやっているからいい、ということはありません。
◎わからないことは声をかけて聞いてみましょう
◎また、事前に調べていきましょう。
【観光地って…】
◎観光客にとっては自分ひとりですが、観光地からすると数多いる観光客の一人という違いがあります。
◎観光客も住民も、皆それぞれ異なる背景を持っていて、歩み寄ることが大切です。

 

ワークショップに関するお問い合わせはこちら → contact@chienoisan.com